男性不妊Male infertility
子供が欲しいご夫婦が、通常の夫婦生活を行っても1年間以上妊娠しない場合、不妊症と診断します。
不妊症の原因は、男性のみに原因があるケース24%、男女ともに原因があるケース24%であり、トータルすると約半数に男性側に問題があります。
よって、女性だけが治療するのではなく、男性側の精査・治療が必要となる場合も少なくありません。
当院は、男性不妊症に対する専門的診療を行う数少ない泌尿器科クリニックであり、愛媛県において、常時男性不妊専門外来を開設している唯一のクリニックです。レディースクリニック(産婦人科)と密に連携を取りながら、少しでも妊娠に寄与する正常精子を増やし、妊娠の可能性を高めることを目指した治療を行っています。
子供がなかなかできないということでお悩みの方は是非ご相談下さい。
なお、過去の精液検査結果や奥様側の治療経過について、出来るだけ資料を御持参ください。また、夫婦協力して治療することが必須ですから、初診時は奥様同伴で受診されるのも大いに歓迎いたします。
男性不妊症の検査
まず、男性不妊症の検査の基本は詳細な問診と精液検査です。この他、カラードプラーエコー検査やホルモン検査(血液検査)も行います。
また、無精子症や高度乏精子症の患者さんには染色体検査(血液検査)なども行います。
医師が必要と思われる検査をご本人に説明の上、進めていきます。
精液検査のながれ
- STEP01ご来院
- 男性不妊外来は全て予約制となっております。若干名ではありますが、当日予約も可能な場合がございますので受付までご連絡ください。
- STEP02受診
- 初診時にはお手数ではありますが、生活歴や過去の治療経過など今後の治療の手がかりとなる場合も多いため、詳細な問診票に記入して頂きます。その後、診察する流れとなります。
- STEP03精液検査、他検査
- 精液検査は禁欲2日~3日で行うことが重要です。禁欲期間が長すぎると精子運動率の低下、精子形態の悪化が多くみられるからです。
自宅から精液を持参された場合、運動率の低下がみられることがしばしば見受けられ、正確な結果を得られない可能性があります。
よって、当院では原則採精室で精液を採取して頂きます。 - STEP04検査結果の説明
- 当日、30-60分後に精液検査結果の説明を行います。
(精液はしばらく静置しておくと粘りが低減し液化します。液化には個人差があるため、結果が出るまで1時間以上かかるケースもございますので時間に余裕をもってご来院ください)
高速前進運動精子をカウントし、自然妊娠可能かどうか、また不妊治療が必要なら人工授精レベルなのか、体外授精が必要なレベルなのかどうかについてアドバイスします。また諸検査の結果をもとに、今後のとるべき治療方法についてご説明します。
クラウド型新規精液検査機器
①SQA-iO
R4年12月に最新精液検査機器であるMES社のSQA-iOを導入いたしました。これにより30-60分程度での結果説明が可能となりました。
通常の精液検査では、精液量、精子濃度、運動率、正常形態率などを調べ、WHOの正常精液所見と比較します。
1mlの精液の中に存在する精子の数を精子濃度といい、その中で運動をしている精子の濃度を運動精子濃度と呼びます。受精能力を判定するには、運動精子濃度にスピードも考慮して数値化したSMI(精子運動性能指数)を判定に使うクリニックも多くみられます。本機器ではSMIも計測可能であり、これを参考として現在の精子の状態で自然妊娠が可能なのか、またどういった不妊治療が必要となるのかについておおよその判断が可能です。
②SQA-VU
R5年12月にSQA-VUを導入しました。これまでのSQA-iOの機能に加え、精液検査での精子動画を診察室で実際にみながら現在の状態、治療前後の変化を動画で確認することが可能となりました。
*精液検査は自費診療となります。
当院での自費診療料金表は以下の通りとなっております。
精液検査など一部につきましては令和6年4月1日より価格改定しておりますので、ご了承下さい。
- 初診料
- 3300円
- 再診料
- 2200円
- 精液検査 SQA-iO+SQA-VU
- 7700円 (2回目以降 4400円)
- 陰嚢エコー検査+触診検査
- 3300円
- ホルモン血液検査
- 5500円
- 詳細検査
(精液検査+陰嚢エコー+ホルモン血液検査+検尿+生化学検査Ⅰ) - 18700円
- 染色体G-band検査
- 24000円*無精子症の患者さんは保険適応となります(概ね10000円程度)
- Y染色体AZF欠失
- 44000円*無精子症の患者さんは保険適応となります(概ね10000円程度)
- 不妊セカンドオピニオン、カウンセリング料
(無精子症、精索静脈瘤手術相談、不妊治療相談など) - 3300円
- ブライダルチェック
感染症検査(HbsAb, HCV, HIV, 淋菌クラミジアPCR, 梅毒,HSV抗体,風疹抗体価IgG)
精液検査+検尿 - 15400円
- ED治療
- 初診料3300円、再診料2200円
- ED治療薬
- 550円~1650円/1錠
*なお、料金につきましては予告なく変更することもありますのであらかじめ来院時に確認をお願いします。
男性不妊症の治療
男性不妊症の要因には、精子の数が少ない・動きが悪い(精索静脈瘤が認められた場合/原因不明の場合)、精子がいない(無精子症)、などがあります。それぞれの症状により治療内容は異なります。
精子の数が少ない・動きが悪い
精液検査にて精子の数が少ない(乏精子症)、精子の運動率が低い(精子無力症)、精子の形が悪い(精子奇形症)にあてはまる患者さんについては、エコー検査やホルモン検査、生活歴の聞き取りなどを行い、原因をつきとめます。約30%の患者さんは精索静脈瘤が原因ですので、是非一度エコー検査を受けることをお勧めいたします。精索静脈瘤は手術で治療可能な男性不妊の原因となる代表疾患です。
本年6月よりカールツァイス社製手術用顕微鏡を導入し、当院でも顕微鏡下精索静脈低位結紮術ならびにTESE(microTESE)の手術が可能となりましたので、適応のある患者様は気軽に受診してください。
また、血液検査の結果などを総合して、サプリメントや漢方薬など適切な処方を行い治療いたします。
精子がいないとき(無精子症)
まず当院で再度精液検査を行い、本当に一匹も精子がいないのかどうか確認します。複数回の精液検査で精子がいない場合、無精子症と診断します。
無精子症と診断された患者さんは、まず陰嚢エコー検査とホルモン血液検査を受けて頂き、精巣内に精子がいるけど通路障害で出てこられない閉塞性無精子症なのか、そもそも精巣内で精子が作られていない非閉塞性無精子症なのかどうか判断します。
次いで、染色体検査を行います。無精子症の患者さんの10-15%に染色体異常が認められます。異常のなかには、精巣内精子採取をしてもほぼ100%精子が採取できないとされるものもあり、いうならば未然に不要な手術を回避する目的もあります。
問題がないようであれば、閉塞性無精子症ならばTESE(精巣内精子採取術)、非閉塞性無精子症ならmicroTESE(顕微鏡下精巣内精子採取術)を行い、精子を確保します。精子が採取出来た場合は速やかに液体窒素で凍結保存し、提携先のレディースクリニックで顕微授精を行っていただきます。
射精できないとき(逆行性射精)
勃起障害、膣内射精障害、また逆行性射精(精液が出ない)によって不妊症となっている患者さんも治療可能です。
適切な薬剤投与やリハビリによって克服できるケースも多くありますので、ご相談ください。