一般泌尿器科Urology
前立腺肥大症
前立腺とは男性にしか無い臓器で膀胱の下、尿道を取り巻くように存在しています。
特徴としては、加齢とともに大きくなっていきます。
その結果、尿道が狭くなり、尿の出が悪い、尿回数が増えてしまう状態となるのが前立腺肥大症です。
大きくなった前立腺を長期間放置すると、残尿(排尿後に膀胱に残る尿)が増えてしまい、尿路感染や尿閉(尿が出なくなる)などを引き起こす原因となることがあります。
当院ではエコー検査を積極的に行い、前立腺体積測定や残尿測定をすることで、前立腺肥大の程度をしっかり診断してから治療を行います。
概ね飲み薬にて治療可能ですが、手術が必要な患者様は提携病院へご紹介いたします。
切らない(低侵襲)前立腺肥大症手術はじめました。
当院では本年8月より前立腺肥大症の切らない(低侵襲)前立腺肥大症手術を開始しました。
2022年に①経尿道的前立腺つり上げ術 ②経尿道的水蒸気治療が本邦でも保険適応となりました。この2つの手術法は低侵襲手術として画期的な手術法ですが、手術適応については一長一短があるため、当院では両方の手術を採用し、患者様にあわせたテーラーメイドな治療が可能となっております。
現在の日本における前立腺肥大症治療は、内服治療での症状改善の治療を行うか、前立腺肥大症が重症化した時点での入院手術療法になります。内服治療は、症状は著明に改善するものの、残念ながら前立腺肥大症が根治するわけではないため、継続的な服用が必須となります。
これを解決するのが、日本でも2022年、保険収載されたUrolift(ウロリフト)とRezum(レジウム)です。これらの治療は、最新の内視鏡手術であり、従来のように切らずに治療が可能です。(治療時間は約15分程度)。前立腺肥大症を縮小もしくは狭くなった尿道を拡張する手術となります。結果として、現在の内服治療を終了もしくは減量をしていくことが可能になります。
また、在宅医療で寝たきりや、介護度が高いためになかなか積極的な治療を受けられない方、全身麻酔など高度な麻酔をかけての治療が困難な方や自己導尿をしている方、膀胱にカテーテルを留置している方でもカテーテル交換が不要となる可能性も十分にあります。
前立腺は、精液の一部を生成する男性の生殖腺で、クルミほどの大きさがあります。前立腺は、膀胱から体外に尿を排出するための管である尿道の周囲を取り囲んでいます。前立腺が肥大すると、尿道が圧迫されて、排尿に関わる様々な症状が出現します。

前立腺肥大症の頻度は、年齢とともに多くなり、50歳から頻度が増加しますが、その原因ははっきりとは解明されていません。
前立腺肥大症に対する治療法は保存治療、薬物治療、手術治療の3つに分類され、経尿道的前立腺吊り上げ術(Urolift:ウロリフト)、経尿道的水蒸気治療(WAVE)は手術治療に該当します。

経尿道的前立腺吊り上げ術(Urolift:ウロリフト)とは、前立腺のなかに小型のインプラントを埋め込み、肥大した前立腺を持ち上げて尿道を広げ、排尿しやすくする治療法です。前立腺組織の切開、加熱、切除が不要な治療法で、体への負担が少ないのが特徴です。
これまでの前立腺肥大症の手術と異なり、性機能を温存できると期待されています。
特徴
・服薬より迅速な症状改善
・経尿道的前立腺切除術(TURP)などの外科手術よりもリスクが低い
・性機能の温存
・数日後に日常生活への復帰
・生活の質の改善
・前立腺肥大症に対する服薬の継続が不要の可能性
・多数の臨床研究論文発表および5年間の臨床データ
・前立腺肥大症の治療の中でも術後カテーテル挿入率が低い
多くみられる合併症
軽度から中程度の症状となります。症状の多くは術後2~4週間以内に消失します。
・尿失禁
・尿路感染症
・排尿困難
・排尿痛

経尿道的水蒸気治療(WAVE)とは、水蒸気を用いて前立腺肥大症を治療します。
従来の手術では、電気メスやレーザーを用いて、排尿の妨げとなる前立腺の肥大部分を切除する方法が一般的でした。しかし、これには多少の出血や術後の痛み、刺激が伴うことがありました。
一方で、WAVE手術は、内視鏡を使用し、前立腺に針を数か所刺して水蒸気を注入するだけの治療法です。切開が不要で出血もほとんどないため、術後の痛みや刺激も最小限に抑えられ、身体への負担が非常に少ない“優しい手術”です。
水蒸気を利用して肥大した前立腺組織を壊死・退縮させますが、術後5年経過時点においても効果は安定しており再手術率は低く(4~5%)、また従来の手術に比べて性機能が維持されることが示されています。
治療時間は平均10分以内程度と短く、当院では原則として、腰椎麻酔あるいは静脈麻酔による1~2泊の入院で行っています。治療後は、一時的な前立腺のむくみが生じるため、術後約1週間程度の尿道カテーテルの留置が必要です。したがって尿道カテーテルは退院後の外来再診時に抜去します。なお、もともと前立腺体積が大きく重度の排尿障害があった患者さんは約1か月程度のカテーテル留置が必要となることもあります。
主な有害事象(合併症)として、血尿、尿閉、尿路感染、疼痛などがあります。また術後3~7日は留置されたカテーテルの痛みを感じる場合があります。これらのほとんどは術後早期に発生し、軽微なものであることがほとんどです。手術の効果が出るまでに約1か月以上を要する治療であることにも注意が必要です。

過活動膀胱
トイレに行ったばかりなのにすぐにトイレに行きたい、長時間の電車やバス移動などでトイレが心配である。このようなお悩みをお持ちの方は過活動膀胱の可能性があります。放っておくとトイレに間に合わない切迫性尿失禁や、夜間頻尿などといった症状が出てくる恐れがあります。
当院では過活動膀胱の原因を検査して適切な治療の提案をさせていただきます。
カフェインや塩分を控えることなど生活習慣の見直しで頻尿が改善する方も多い疾患です。
また、最近は治療薬開発も進んできており、副作用も少なく効果も十分ある薬剤を処方可能です。
「年だからしょうがない。」と、あきらめずご相談ください。
尿管結石
尿の通り道に石が出来てしまった状態が尿路結石です。
場所によって腎臓結石、尿管結石、膀胱結石と呼びますが基本同じものです。
原因はアルコール摂取や飲水不足など生活習慣にあることがほとんどです。腎臓結石は症状が少なく気づかないこともありますが、尿管結石は激しい疼痛や血尿を伴うことで有名です。通常8mm未満の尿管結石は自然排石が期待できますが、それ以上の大きさの結石は対外衝撃波結石砕石術や内視鏡手術などの外科的治療が必要となる可能性があります。なお、痛みがなくなったからいいだろうと放置すると腎不全となったり、腎盂腎炎を発症することもありますので放置せず早めの受診をお勧めします。
また、腎臓や尿管に結石がある方は定期的にエコーやレントゲン検査を受けることをお勧めいたします。
前立腺癌
前立腺癌は男性特有の癌で、かなり進行するまで症状が無いことがほとんどです。年齢を重ねるごとに増加することが知れられています。なお、症状が乏しい癌なので、検診が非常に重要です。
検診は血液検査でPSAという腫瘍マーカーを測定することで行います。
早期発見、治療を行えば死亡率は非常に低い癌ですので60歳を超えたら年に1度はPSA検診をお勧めいたします。
また、基幹病院にて前立腺癌ホルモン療法を受けておられる近隣の方は、当院で継続してホルモン治療を行うことも出来ますのでご相談ください。
尿道炎
排尿の始め頃(おしっこの始め)に「焼けるような痛み(灼熱感)」を感じます。
細菌感染により尿道に炎症がおき、排尿時の始めから終わりにかけて焼けるような痛みを感じます。男性に多くみられ、性行為によるクラミジア菌や淋菌などへの感染が原因となることが多いです。
透明、淡い黄色、白色の膿が尿に混じってみられる際は直ちに泌尿器科クリニックへの受診を強くお勧めします。最近ではマイコプラズマやウレアプラズマを原因とした非淋菌性非クラミジア性尿道炎と言われる尿道炎も増えてきており注意が必要です。
放置すると不妊症の原因となったり、尿道狭窄症や精巣上体炎、前立腺炎の原因となることもあります。パートナーがいる方は症状が無くても2人で検査することをお勧めいたします。
腎盂腎炎
排尿痛や頻尿といった症状の膀胱炎をおこした後に腎臓の中で尿を溜める役割を担う「腎盂(じんう)」や腎臓に細菌が感染することで炎症を起こす病気です。多くは、尿道口から侵入した細菌が尿道、膀胱、尿管とさかのぼって腎盂にまで達することで発症します。
腎盂腎炎では、痛みの特徴として「背中や腰に痛み」がみられ、尿中の白血球の増加に より「尿の濁り」などもみられます。また高熱を伴うこともあります。特徴として女性に多くみられます。尿道が男性に比較して短いからです。放っておくと菌血症を来す危険もあるため、早めに専門医受診をお勧めいたします。
メンズヘルス外来
①男性更年期外来
更年期障害というと女性特有の症状と思われがちですが、近年では男性にも発症することが注目されています。
加齢やストレスにより男性ホルモンが減少することが主な原因です。男性ホルモンは睾丸で作られており、筋肉や骨格を作ったり、性機能の維持するための役割の他に心理機能や脳の認知機能にも影響しています。
コロナウイルス感染症拡大による在宅ワークの増加や経済的な不安など現代のストレス社会において男性ホルモンが減少している方が増えてきています。
血中のフリーテストステロン値(活性型の男性ホルモン、加齢により減少)を測定することで診断します。テストステロンが低い場合は月1~2回の男性ホルモン補充療法を行うことで劇的に症状が改善するケースもあります。
なお、治療開始前にPSA値(前立腺癌マーカー)が高かったり、前立腺癌の診断を受けている方はテストステロン補充療法を受けることが出来ませんのでご了承ください。
最後に症状はうつ病と似ている部分も多くみられるため、うつ病と診断され抗精神病薬を投与されている方も見受けられます。もしあてはまる症状があるようでしたら、ご相談ください。
②ED外来
ED(勃起不全)は多くの男性にとって悩みの種であり、性生活だけでなく日常生活にも影響を及ぼすことがあります。しかし、EDは治療可能な問題であり、正しい診断と治療を受けることが重要です。重信クリニックでは、EDの治療を専門的に行っており、患者さま一人ひとりの症状やライフスタイルに合わせた最適な治療法を提案しています。EDでお悩みの方は、どうぞ一人で抱え込まず、お気軽にご相談ください。あなたの健康と生活の質をサポートいたします。
*注意点 ED治療薬にはいくつかの副作用が報告されていますが、ほとんどの場合、一時的で軽微なものです。ただし、心疾患や脳梗塞の既往がある方が服用する場合、重篤な副作用が現れることがあるため、そのような場合には医師に相談し、指示を受けることが非常に重要です。服用前に医師に自分の病歴をしっかり伝え、適切なアドバイスを受けることが、安心して治療を受けるためには不可欠です。
ED治療薬の違い
※狭心症治療薬、抗不整脈薬、肺高血圧治療薬を内服している方は内服できません。
※どのお薬も性的刺激が無い場合は勃起は起こりません。
| シルデナフィル50mg (バイアグラジェネリック) |
バルデナフィル20mg | タダラフィル20mg (シアリスジェネリック) |
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|---|---|---|---|
| 特徴 | 知名度が高い | 一番即効性がある 勃起作用が強い |
作用時間が長い 副作用がマイルド 世界シェア1位 |
| 食事の 影響 |
影響されやすいため、空腹時や食後1時間以上たってから内服する方がよい | バイアグラよりも食事の影響は受けにくいが、空腹時や食後1時間以上たってから内服する方がよい | ほとんど認められないが、空腹時の方が体への吸収が良い |
| 服用 | 1日1回まで、24時間以上間隔を空ける | ||
| 投与時間 | 性行為の1~3時間前 | 性行為の1~3時間前 10分前でも2割の人が有効 |
性行為の1時間前~1日半前 いつでも好きな時に |
| 作用時間 | 4~5時間 | 7~8時間 | 30~36時間 |
| 副作用 | 顔のほてり、目の充血、心窩部不快感、張り、鼻詰まり、頭痛 | ||
| 料金 (1錠) |
¥800 | ¥1,200 | ¥900 |
③メディカルダイエット(肥満外来)
メディカルダイエット(肥満外来)とは、減量(ダイエット)の治療を専門に行う外来のことです。日本では肥満(BMI25以上)に伴って、健康に影響がある状態、もしくは影響が出る可能性がある状態のことを肥満症と呼び、減量治療が必要となります。しかし、単に減量しようと思っても1人ではなかなか難しく失敗するケースも少なくありません。そんなときは医療の手を借りるのも1つの方法です。
SGLT2阻害薬
糖を尿とともに排泄し、血糖値を下げたり体内の水分量を調節したりします。摂取した余分な糖分を尿として排出し、一日200kcal、1か月で6000kcalの排出量となり1kg弱のダイエット効果があるとされています。しかし、尿路感染(膀胱炎など)、脱水、頻尿などの副作用が報告されており注意が必要です。
2型糖尿病などの治療薬として承認されていますが、現在のところ、肥満治療目的での使用については国内で承認されていません。SGLT2阻害薬を処方するクリニックは、国内医薬品販売代理店を通じて正規の薬剤を入手しています。また、美容やダイエット目的で使用する場合は自由診療となり、保険の適用外となります。
すでに糖尿病などの治療中の方は、処方ができない場合がございます。ご了承ください。また、それぞれの治療には副作用などのリスクがあります。受診前に必ず副作用と注意事項をご確認ください。
ジャディアンス1T 330円 (1か月 9900円)
小児の疾患
包茎、亀頭包皮炎
おちんちんのトラブルは、知識がないため、母親が心配し受診されることが多い疾患です。赤く腫れて痛い、先から分泌物がでているといった症状が多いです。ほとんどが軟膏塗布で改善はしますが、改善後に包皮をしっかりと翻転し、清潔に保つ必要があります。包皮口が狭い場合にはステロイド軟膏を使用し皮膚を柔らかくして翻転できるようにすることで手術を回避することも可能なケースが多くみられます。気軽にご相談ください。
夜尿症
夜尿症(おねしょ)とは、夜間寝ている間に無意識のうちに排尿してしまう状態を言います。5歳児の夜尿症の頻度は15%で、自然消失率が毎年15%程度と報告されています。多くは成長とともに自然治癒します。ただ、夜尿症のために学校行事に参加できなかったりして心理面・社会面・生活面に様々な影響を与えることがあります。よって、なるべく早く治療を行うこと重要です。当院では生活指導だけでなく、必要に応じて抗利尿ホルモン内服療法も行います。




